資産譲渡等の時期の特例

1. 国又は地方公共団体の特例

国又は地方公共団体の会計は、予算決算及び会計令又は地方自治法施行令の規定によりその歳入歳出の所属年度が定められ、一般の民間企業とは異なる会計処理が行われています。

このため、国又は地方公共団体が行った資産の譲渡等については、予算決算及び会計令第1条〔歳入の会計年度所属区分〕又は地方自治法施行令第142条〔歳入の会計年度所属区分〕(これらの規定の特例となる規定を含む。)によりその対価を収納すべき会計年度の末日において行われたものとし、課税仕入れ及び課税貨物の保税地域からの引取りは、予算決算及び会計令第2条〔歳出の会計年度所属区分〕又は地方自治法施行令第143条〔歳出の会計年度所属区分〕(これらの規定の特例となる規定を含む。)によりその費用の支払いをすべき会計年度の末日において行われたものとすることができます(法60A、令73@)。 

2. 国又は地方公共団体に準ずる法人の特例

法別表第三に掲げる法人(公団、公庫、事業団、社団法人、財団法人、学校法人、社会福祉法人、宗教法人、商工会、共済組合、労働組合等)のうち、法令又は定款等(定款、寄附行為、規則若しくは規約)に定める会計の処理の方法が国又は地方公共団体の会計の処理の方法に準ずるもので、この特例の適用を受けることにつき所轄税務署長の承認を受けたものについては、国又は地方公共団体の場合と同様、資産の譲渡等の時期について、特例が適用されます。

したがって、資産の譲渡等の時期について所轄税務署長の承認を受けた法人が行った資産の譲渡等、課税仕入れ及び課税貨物の保税地域からの引取りについては、その法人の会計の処理の方法に関する法令又は定款等の定めるところにより、その課税資産の譲渡等の対価を収納すべき課税期間並びに課税仕入れ及び課税貨物の保税地域からの引取りの費用の支払いをすべき課税期間の末日において行われたものとすることができます(法60B、令74@、A)。

なお、この特例の適用を受けようとする法人は、その法令又は定款等に定める会計の処理の方法その他所定の事項を記載した申請書を所轄税務署長に提出する必要があります(令74B、規28@)。

(注) 法別表第三に掲げる法人(公共法人等)には、外国、外国の地方公共団体及び外国法人で法別表第三第1号の表に掲げる法人に準ずるものとして大蔵大臣の指定したものも含まれます(法別表第三第2号)。

【留意事項等】

T 国又は地方公共団体及び準ずる法人として承認を受けた法人が仮決算に基づく中間申告を行う場合にも「資産の譲渡等の特例」が適用されますが、その中間対象期間を一課税期間として、令第74条の規定を適用することとなります(基通16−3−1・2)。

U 公共法人等については、延払基準(令37)及び工事進行基準(令39)を適用することができます。